自家焙煎珈琲店主という肩書きをハズしてから早1年。
今は企業勤めの身ですが,会社でも一日1杯は豆を挽いて,ペーパードリップで抽出して飲むようにしています。
馬鹿馬鹿しいこだわりのように思われるかもしれませんが,豆を挽くところから始めることで,確実にコーヒーの味をコントロール出来る幅が広がるのは事実でして。。
珈琲店主時代,よくお客様から
「コーヒーの味っていうのは焙煎段階で決まる部分が大きいの?それとも抽出段階で決まる部分の方が大きいの?」
というご質問をいただくことがありました。
全国的に有名な珈琲店の店主さんの中には
「生豆の質で珈琲の味の50%以上が決まってしまう」
と明言される方もいらっしゃいますし,おそらく100人の珈琲店主に同じ質問をぶつければ100通りの回答が返ってくるような気がします。。が。。
わたくしの個人的な主観で,そういった質問には
■生豆の質:40%
■焙煎技術:20%
■焙煎後の鮮度:15%
■抽出技術:25%
くらいですかね?と回答しておりました。
大手のコーヒーチェーン店でもなければ,自らコーヒー農園を持つなんてことは不可能ですが,徹底したハンドピック(カビ豆や虫食い豆等の不良豆を取り除くこと)によってある程度「生豆の質」を管理することは可能(10%くらい?)ですし,
なおかつ,【焙煎→抽出】までの作業過程をすべて自分で行うことで,自家焙煎珈琲店を経営していた頃は,「おいしい珈琲」の条件の60%~70%程度を自力でコントロール出来ていたのかな?。。と。。
そう考えると,珈琲店を辞めた今は,自力でコントロール出来るのはコーヒーのおいしさを決める40%程度でしかないのですが,だからこそ,「焙煎後の鮮度」にはこだわりたいところなのです。
基本的にコーヒー豆は焙煎した直後から酸化が始まってしまい,豆の状態で焙煎から2週間,粉に挽いてしまった場合は1週間で「おいしく飲める時期」は終わってしまいます。
この酸化に伴う「劣化」は,ただ「味の劣化」を意味するだけではなく,「炭酸ガス」の放出に伴う「香りの劣化」も意味しますので,「焙煎後の鮮度」はとても重要なのです。
当然,「豆の状態」から「粉の状態」にすることで空気に触れる表面積は格段に大きくなってしまいますので,「酸化による劣化」は急速に進んでしまいます。
ですから,
・豆のまま密封した状態で保管し,
・抽出する直前に豆を挽き,
・購入後2週間以内にすべて飲みきる
ことが「おいしく飲む」ための15%を左右する重要なファクターになってくるのです。
そして,最後の決め手が「抽出技術」。。
「ご自宅でおいしく抽出するためのコツのお話」はまた別の機会に。。